少子化の重大さ

 2005年の合計特殊出生率は1.25でした。人口が増加も減少もしない人口置換水準は2.07ですから著しく少ないと言えます。私たちは、つい最近華々しく21世紀を迎えましたが、31世紀は迎えられるのでしょうか。中央大学の大淵寛教授(専門は経済人口学)は、2006年2月16日に日本経済新聞に寄せた論説で「現在の日本の合計出生率1.3が続けば、900年後には日本人はほぼ絶滅する。」と書いています。昨年の合計出生率は1.25ですから900年待たずして日本人は絶滅してしまうのでしょうか。
 31世紀といった先の事ではなく今後50年間にはどのような変化が生じるのか予測を見てみます。国立社会保障・人口問題研究所の平成14年の将来人口推計(中位推計)では2050年の日本の総人口を10059万人と予測しています(低位推計では9203万人)。労働力人口(15歳〜64歳)は、2000年の8638万人から2050年には5388万人(中位推計)に約38%減少します。年率1%弱の減少率です。労働力人口の減少はGDPを減少させる方向に働きますから、GDP成長率が落ち込み、今以上に生活が貧しくなることも心配な事です。
 さらに国立社会保障・人口問題研究所編「人口の動向 日本と世界 2005」では、2100年の我が国の総人口を4080万人と予想しています。人口の著しい減少は、大きな設備投資を必要とする自動車、電機、IT等の産業を国内で維持すること、道路、公共施設等の社会インフラを新しく建設することも維持することも困難にします。
 日本の適正人口については、多くの議論があると思いますが、1億人から1億5000万人程度が生活することは十分可能と思われます。2050年の我が国の予想総人口1億人程度で、人口の減少をくい止めたいと思います。現在の豊かさを維持できなくなるのは困りますし、まして、日本人の滅亡を望む人はいないと思います。
これまでの少子化対策
 エンゼルプラン    7年度〜11年度 緊急保育対策5ヵ年事業
新エンゼルプラン   12年度〜16年度 保育サービス等子育て支援サービスの充実
新新エンゼルプラン  17年度〜 育児に対する総合的対策を目指す

 これまでの少子化対策は、僅かながらの効果を上げて来ましたがエンゼルプラン実施以後も、少子化は止まるどころか毎年合計特殊出生率は低下を続け、2005年は1.25と過去最低となってしまいました。今後30年間は高齢者の死亡による人口減少を止めることはできませんが、一年でも早く合計特殊出生率を人口置換水準の2.07に上昇させるために効果のある対策が求められています。
デンマーク、フランス、スウェーデンなどは、合計特殊出生率を向上させることに成功しています。日本でもできないことはないと思います。